出産ママの声

2021年1月

コロナ禍での私の出産体験

 

はじめに

2年前に石川県に引っ越してきて、もし3人目を授かったらどこで出産しようかと思っていた時に、自宅近くに助産院があり、次はここでと決めていました。

私にとって経験のない、分娩台の上での医療介入を拒否できない出産は恐怖でしかなかったので、助産院という選択肢があることを知った時はとても安心しました。

前の産院は、女医さんの経営する畳の分娩室を持つ産婦人科クリニックでした。

自分の家のような温かい雰囲気であったことを思い出し、助産院もいいなと思い、ここでの出産を決めました。

出産までの10ヶ月間は早くここで出産したくてずっとワクワクしていました。

 

助産院スタイルでの出産経験があった私ですが、今回の出産はまた新たにたくさんのことを学ぶことができた貴重な体験となりました。

特に私が感動した3つのことは、出産に向けての身体作りと、出産時の家族の一体感、そして産後のサポートの違いでした。

 

①出産に向けての身体作り

助産院で無事、元気な子を出産するには妊娠中から取り組むべきこと、意識することがたくさんあり、それを一つ一つ、必要な時期に丁寧に教えてもらいました。

その中でも腹帯は子宮を温め、お腹を支えるのに本当に最適で、私自身とても快適に過ごすことができ、もっと早く知りたかった!と思いました。

上2人の時にいろんな腹巻や骨盤ベルトを試しましたが、それとは全く違いました。

 

妊娠中の食事についても、助産師さんから「何を食べたらいいかはお腹の赤ちゃんが知ってるから聞いてみて。」と教わりました。

そういう心持ちでいると、何故か和食が食べたくなり、以前の妊娠中は食べたくて仕方なかったお菓子やケーキも、自然と食べたい気持ちが湧かなかったのも不思議でした。

助産師さんはいつもそんな風に、何かを強制するのではなく、考えたり意識したりするキッカケをくれました。

産院では妊娠中の身体作りについてここまで教えてくれなかったので、それが大きな違いでした。

産院では先生が帝王切開などの最終手段を持っているけど、助産院ではそれができません。だからこそ、助産院で出産するためには、妊娠中にも出来る限りのケアをする必要があるのだと思いました。

 

コロナ禍ということもあり、もし他の産院での出産に切り替わってしまったら、家族の立ち合いもない一人ぼっちの出産になってしまう恐れがありました。

前回までと同じように、夫と子供達に囲まれて出産したいと思っていたし、何より恐怖の分娩台を1人で、、など考えたくもなく、身体作りには後悔しないよう一生懸命取り組みました。

 

 

②出産時の家族の一体感

助産院では出産における家族の絆をとても大事に考えてくれていると思います。

私が妊娠したのは、ちょうど全国で緊急事態宣言が出され、学校も休校となり、みんながステイホームを強いられていた頃でしたが、助産師さんやスタッフの皆さんは感染予防に注意しながら、家族同伴での健診を当たり前のように受け入れてくれていました。

おかげで、コロナ禍でも夫と上の娘2人も赤ちゃんのエコーを見たり、心音を聞いたり、家族みんなで生まれてくる赤ちゃんを身近に感じることができました。

娘達にとっても、とても貴重な経験だったと思います。

出産時も他の産院は軒並み立ち合いができなくなっていたのに、ここでは家族みんなで出産に挑むことができました。

 

2人目の出産の時も夫と上の娘が立ち合いしてくれたのですが、夫が娘の遊び相手をしなければならず、陣痛中少し寂しい想いをしたという話を助産師さんにしたところ、助産院ではそうならないように助産師さんが遊び相手になったりして、私や夫が出産に集中できるようにサポートすると言ってくれました。

私の出産は元旦だったのですが、4人の助産師さんがサポートしてくれました。

 

助産師さんは夫に「分娩台の代わりにママが掴まれるようにこうやってここに座って…」と役割をちゃんと説明してくれていたおかげで、夫は今までで一番主体的に出産に関われたのではと思います。

ただの「立ち合い」ではなく、赤ちゃんを生み出すために一緒に頑張ったという感じがより強くしました。

私が夫の膝枕で横になり、娘達も私の頭の両側で手を握りながら見守る中で、赤ちゃんは生まれました。

後で助産師さんに、「あの瞬間、家族が自然と赤ちゃんを中心にぎゅーっと集まって、みんなが赤ちゃんかわいいねって言って、その光景がとっても美しかった」と言われ、とても嬉しかったです。

生まれてくる過程をちゃんと見ていた娘達は、赤ちゃんをすんなり家族として、守るべき弟として受け入れてくれました。

それは3ヶ月経った今でも変わらず、お姉ちゃん達の赤ちゃんへの愛情の大きさに、私も夫も日々驚かされています。

そして何よりびっくりしたのは、夫の変化です。出産に主体的に加われたことで、赤ちゃんへの愛情だけでなく、私への愛情も増したように感じています。

産み終わった直後は優しく私の頭を撫でてくれ、その手から大きな愛情を感じました。

 

また産後も、今までの出産に比べて夫が私を気遣って、労ってくれているのがよく分かりました。

赤ちゃんに対しても、今まで以上に愛情をかけているように思います。

出産のあり方次第で産む本人はもちろん、夫の体験もここまで違うのだなと思いました。

私は今回の出産を通して、家族の絆がより強くなったのを感じました。

できることならまたここで産みたいです。年齢的、経済的にもう厳しいですが。笑

 

 

③産後のサポートの手厚さ

退院後、母乳性黄疸が強くなってきた時は、大雪の中、助産師さんが毎日のように家まで様子を見に来てくれて、体重を測ったり沐浴したりしながら、心配で情緒不安定になっていた私を助けてくれました。

また、少し小さめで生まれた赤ちゃんがうまくおっぱいを吸えず体重が減ってしまった時は、ミルクを足すことに抵抗のあった私の気持ちに寄り添いながら、必要なものは何でも貸し出してくれました。

おかげで哺乳瓶やミルクを買う必要がなく、経済的にも助かりましたし、気持ち的にも受け入れることができました。

助産師さんと相談しながら二週間ほどミルクを少し足したりしましたが、今は母乳のみで大きくなっています。

入院中はもちろん、退院後までずっと家族のような温かい支援のある助産院の出産も良いものだと思いました。

 

もしどこで産もうか迷われている方や、助産院での出産に不安を感じている方がいたら、この体験談が少しでもお役に立てば嬉しいです。